のぼるおんなは今日もめんどう。

2017年から登山をはじめた、こじらせ会社員女性が、山行で余計にこじらせた思考を記録します。

【奥多摩・雲取山】奥多摩小屋での初テント泊、立ちはだかるマイスタイル模索の壁

2018年、初夏。わたしは興奮していた。

2000mくらいの山なら恐らくもう雪は完全に融けている。そして、どんどん上がる気温。もう低山だと暑くて仕方ないくらいだ。

そう、夏なのだ!

夏が大好きだ。夏生まれだからか、年々夏が好きになる。そして山登りを始めてから、もっと夏が好きになった。

せっかくテントを買ったので、登りたくて、テント泊がしたくてうずうずしていた。カレンダー通り勤務のサラリーウーマン、しかも残有休少なめ(for登山)なわたしは、土日の強行泊まり山行も厭わない。まだ若いし(自称)。初めてのテン泊なのでなんとなく近場がいいかなあ…ということで。

2018年5月26~27日、奥多摩小屋のテント場泊で、雲取山に行ってきました!

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ルートは、鴨沢から七ツ石山を通って奥多摩小屋へ、翌朝雲取山でご来光を見てから、鷹ノ巣山を経由して奥多摩駅へ帰る、という感じでした。奥多摩駅へのダイレクト下山が鬼きつかったです。マジで鴨沢ピストンにしとけばよかった。マジで。

 

8:30奥多摩駅発のバスで鴨沢へ。今回はめずらしくソロではありません!山仲間のMさんと。Mさんは登山歴5年。初めていっしょに登りますが、トレランも沢登りもやる方なので大変頼りにさせてもらうつもりできました。Mさんは、「こいつ初心者すぎるから途中でへばるんじゃねえかと思ってすこしゆううつだった」らしいです。

Mさんは、たぶんわたしの山友だちの中でも際立ってハードボイルド。山好きな人って総じて、ギア集めに悦を覚えるじゃないですか(わたしも)。反面、Mさんは道具なんてなんでもいいらしいんです、自然と触れ合えれば。初めて沢登りをしたとき、先輩に「ヘルメット持ってこいよ」と言われて、バイク用のフルフェイスのヘルメット持っていったそうですから。重すぎてバテて結局その先輩のちゃんとしたヘルメットと交換したという迷惑すぎる話、めっちゃ笑いました。別の日にはリサイクルショップで買った250円の登山靴で南アルプスを1週間縦走したそうです。途中でソールが剥げて、すれ違うひとみんながあまりの悲惨さに補強アイテム(テープやひもなど)を何も言わずとも与えてくれて、無事下山できたそうです。バカだろ。

 

雲取山は2回目です。はじめての泊まり登山(そのときは友達のテントでした)も雲取山でした。やっぱり手軽ですもんね。

登り始めてすぐ、後ろから歩いていたMさんに「思ったより早く歩けるんだね!」と言われ、とてもびっくり。ソロ山行では抜かれることが多いので、わたしはすごく歩くのが遅いのだと自分で思っていた。そういわれると、確かにこの日は結構を人を抜いたような…

しかし、ザックの重さは15kg。思わず行きしに撮ったほど。

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いつバテるかわかりません。油断禁物。

 

七ツ石山に到着。なかなかにいいペース。

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しかしガスってますなあ~。

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これはこれでよし。

 

このあたりで、Mさんが「自分は絶対に山でカップラーメンを食べない、それが自分の山行スタイルだ」という話を始めた。ええ!?カップラーメンめっちゃうまいやん!と突っ込むと、「それは否定しない。確かにうまい。だが自分は食べない」と。そして「なにかこだわりの山行スタイルはある?」と聞かれた。ううん…

ちなみにこの日はソロではなかったが、道中ほぼ話をしなかった。ソロ×2、みたいな。それはそれは大変にラク。自分の山行スタイルについて、黙って考えていた。

 

13:30ごろ、奥多摩小屋に到着。計画より1.5時間くらい巻きました。休憩もそこそこに黙々と歩いたからだと思う。

テントを建てる。何度でもいう、ゴーストスカイくんかっこいい。

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奥多摩小屋は、2019年の3月で閉鎖予定。雲取山にテン泊で行こうと思ったら恐らく雲取山荘か奥多摩小屋になるので、そのうちひとつがなくなってしまうってすごくインパクト大きいと思う。しかも奥多摩小屋の方が鴨沢登山口からの距離が近く、テン泊初心者向けのような気がするし。今回、行けてよかったです。

 

宣言通り、Mさんはカップラーメンを食べず、しかもわたしの分の食事まで用意してくれた。これが「山ご飯」のレベルじゃないんですよ…まず出てきたのは「昔の職場にいた中国人に教わった中華風おこわ」。そして次に出てきたのは「牛肉のガーリックバジル炒め」。〆は「ニョッキのトマトソースがけ」。ジャンルレスすぎだろ。その割にいちいち本格的でもう笑いが止まりません。こんなことする前にヘルメットとか登山靴とか買ってほしいですマジで。

わたしは全くなにもせず、ずっとビールやワインを飲みながらご飯を待っていました。ありがたいほんとに。ワインはわたしが1本担いでいったのですが、ふたりですぐに空けてしまいました。

話は戻って、山行スタイルの話に。いつも食事はどうしてんの?とか、低山が好きなのか高山が好きなのかとか、疲れたいのか疲れたくないのか、とか。ううん、適当にかわすことができないほど考え込んでしまった。だって全部好きなんだもん…。それでも、ああだこうだ山の話をするのは楽しい。

14時くらいから飲んでいたからか、疲れていたからか、早めの19時に就寝。まあ5時間飲んでるから、普段なら終電の時間くらいかな。テントに入ってから3秒で眠りに落ちました。

 

22時くらいに1度、目が覚めてしまった。お酒を飲んだとき特有の浅い眠りだったようで、その後なかなか寝付けなかった。考え事がはじまる。

 

たとえば仕事は好きだけど、「自分にしかできない仕事」はないと思っている。自分の仕事のやり方を誇示したことはおそらくほとんどなく、割と人に合わせるタイプだと思う。昔働いていた会社の社長に飲み会で突然「人に合わせて生きて何が楽しい?癪に触る」と言われたことがあった。そんなことを唐突にかつ高圧的に言う奴の方が癪に触るだろ、と思ったが、その夜は終始ヘラヘラしていた。

考えれば考えるほど、徹底的にノンスタイルなのだ。 

就職したばかりの頃はそういう自分を呪ったし、すごく尖った人になりたいとも思った。でも今は、別になんとも思わない。そういえば最近上司に、バランスがいいね、と言われた。なんだって裏返せば良いところになるのだ。いい加減なものだ。

眠れない夜は山崎まさよしを聴くと決めている。電波が入らないテント場でも、スマホにイヤホンをつければ彼の声が聴けるなんてとても素敵。しばらく考え事をしていたら、うとうとしてきた。眠る前最後に流れてきたのはこの曲だった。

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ギターの弦をこする音が心地よいイントロ。明日も晴れるといいな。ただそれだけ。

 

翌朝、4時ごろに起き、ご来光を見に山頂へ。ヘッドライトで暗い中を登るのは、いつもすごくゾクゾクする。

雲取山頂についたのは日の出の20分ほど前。避難小屋付近で待機します。わたしは水くらいしか持ってきていなかったのですが、Mさんがインスタントの豚汁を持ってきてくれていました。あったかくておいしかった。Mさんの食への探求心スタイル…

ご来光はバッチリでした。

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前日までのガスとは打って変わって快晴の2日目。山頂が気持ちいい!

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テント場に戻ってまたMさんが朝ごはんを作ってくれました。牛すじ入りトマトソースのパスタ。おいしかった。荷物、重かったろうなあ…。

朝ごはんを食べている間にテントがすっかり乾いて、ふたりしてご機嫌。さあ、ここから7時間かけて奥多摩駅まで降りますよ!!!

 

・・・ここからはもうほとんど記憶がないくらいきつかった。まず、暑い。日差しジリジリ。そして、虫が多い。まじでイライラ。Mさんに当たり散らしてしまった。でもMさんはずっと「うん!大丈夫!すごくいいペース!」と、どこまでも明るくわたしを励ましてくれた。Mさん、ずっと楽しい人でした。それもMさんスタイルなのでしょう。

奥多摩駅についたとき、イライラしたことを謝った。「いや、気持ちわかるんで!大丈夫!」。心底あなたのようになりたい。

奥多摩といえばの、ここのお風呂に入って帰宅。相変わらず混んでたなあ~。

www.okutamas.co.jp

ちなみにこの日は日本ダービーでしたので、脱衣所でラジオを聴いて応援しました。外したけど。

 

雲取山は本当にテン泊初心者に最高の山だと思います。奥多摩小屋のテン場は展望こそないものの、広々としていて気持ちがいい。なくなってしまうのが残念です。

2019年は、どんな登山をしよう。高山でも低山でも、夏でも冬でも、泊まりでも日帰りでも、なんだってOK!ノンスタイルこそマイスタイル。わたしらしく、風の吹くままに流されて、好きなところに行ってきます。

まったく季節感のない更新タイミングでした。謹賀新年。