【丹沢・大滝キャンプ場】ゆれるソリストよ、キャンプ場で遊びましょ
気持ちが晴れないゴールデンウィーク、映画を観てきました。
すごく偏りのあるにわか映画好きでして、特に胸が高鳴るのが「オスカーに引っ掛かったゲイ映画」のわたしとしては今年のオスカーにノミネートされた時点から鼻息荒く待っておりました。去年の作品賞だった『ムーンライト』も最高だった。いちばん好きなのは『ブロークバック・マウンテン』です。
観に行ったのは前回のブログを書いた夜、日比谷のシネマシャンテは満席でした。感想を書くのがとても苦手なのでなんとも言いませんが、とにかく美しい映画でした。あれはファンタジーだと思います。侮蔑は込めてないです。
スカッとしたいときには映画や音楽にできるだけ生で触れる、というのがマイルールなんですけど、ちょっと美しすぎてスカっとできなかった(かと言ってコメディ映画やドンパチ映画ではスカっとできないんですこじれているので)。どうしたものかと考えたとき、目に入ったのは中止になった甲武信ヶ岳テン泊のためにパッキングしたザック。かと言って山に登るほど心が元気じゃない。
というわけで!キャンプをしようと突然決めました。
と言っても車がないので、電車+バスで行ける場所限定。愛する丹沢しかありませんね!
ここに行きました。大滝キャンプ場です。
小田急線新松田駅から、西丹沢ビジターセンター行のバスに乗り、「大滝橋」バス停で下車してすぐです。
下車してすぐって言いましたけど、バスそのものの乗車時間は新松田から約1時間です。そして、GW渋滞でその2倍時間がかかりました。くったくたでした。交通費は最寄駅から往復で3,500円くらいかな。
移動中は大体音楽を聴いているのですが、心の元気がなさすぎて何も聴く気になりませんでした。ヒーリング効果のありそうなノラ・ジョーンズでも聴いてみようかと思いましたが普段一切聴かないものは逆効果になりそうなので、おとなしく窓の外の風景を眺めていました。
キャンプ場に到着すると、事前に電話で聞いてはいましたが大混雑。大体のお客さんは車で来ていますが、たまたま同じバスに乗った3人家族もこのキャンプ場に入りました。めずらしいな~と思っていたら、お父さんのザックのサイドポケットに黒霧島が刺さっていました。飲みたいのね、お父さん。確かに公共交通機関だと気兼ねなく飲めるのがいいですね。
車もバイクもなければ、税別800円で泊まれます。山小屋のテン場の幕営料と同じくらいですね。
このテント場の特徴は、沢のすぐそばにテントが建てられることです。
それはそれは新緑と水の流れが気持ちよく、沢で遊ぶ子どもたちの声もキラキラと輝いています。
混んではいましたが、ソロだし山岳テントなのでスムーズに幕営できました。これでまともに建てるのは2回目!MHWのゴーストスカイくんです。
まだ少し時間はかかるけど、思ったよりスムーズに建てられたかな。前回もキャンプで使ったなあ…はよ山で建てたい…
到着したのが昼ごろだったので、メスティンでご飯を炊いて、甲武信ヶ岳で食べるはずだったカレーを供養します。
しばらく酒を断とうとか思いましたけど、キャンプきて飲まへんわけにはいきませんやろ!!!(だからダメなんですよねほんとにああ自己嫌悪)
キャンプ場の中を回ってみると、水道もたくさんあるし、私がテントを建てたところからいちばん近い水道にはなんと洗剤が置いてありました!おかげで快適に食器が持ち帰れました。ありがたい。沢の水も本当にきれい。いつまでも見ていられる。
空が青い。新緑が生きている。
せっかくなので、沢の水でお酒を冷やします。
近くにいた子どもが、「あっちの方が冷たいよー!」と穴場を教えてくれたおかげですぐに冷えました。そしてすぐに飲みました。
その後少しだけ昼寝をして(至福)、読書タイム。子どもの声やその子どもを叱る親の声、パーティピープルが流している低音が効いたチャラい洋楽など、ノイズは多いはずなのにやけに集中できて一気に読んだ。本を読み終わる頃には薄暗く、肌寒くなっていた。さっきまでは日差しが痛いほどでテントの中は蒸し暑かったのに。ダウンジャケットとダウンパンツを着た。
焚火とランタンが灯り始めるキャンプ場をぼおっと眺めて、これまで生きてきた中であった恥ずかしいこと、腹が立ったこと、つらかったこと、申し訳ないこと、そういうことをぼんやりと思い出していた。読んだ本に、ネガティブから抜け出すには何かに没頭しなければならない、と書いてあった。今、この瞬間、私には没頭するものがない。テントの中から、灯りを眺めて、夜が更けるのを待つだけ。
消えたい。どうしても何かで紛らわせないのなら、全部なかったことにしたい。あれもこれもあれもこれもあれもこれも。
さっきまでキャンプの空気を感じて楽しい気持ちだったのに、どうしたものか。ゆれすぎだろ。ふと1曲、頭で流れたのでiPhoneで再生してみた。
わかってますよ!中二病全開ですよ!!しかも帰ってからこの曲がテラスハウスで使われてたと知ってかなりショックでしたよ!!!!!
湘南が遠くなってく
ふたり遭難し続けてこのまま
まるで湘南抜けたら何もない
不思議な地球儀のうえに
何度目かの夕立が
ここは湘南でもないし、遭難なんて縁起でもないし、夕立なんてきたらたまったもんじゃないのですが、「不思議な地球儀のうえ」という表現にこの瞬間をとても重ねてしまった。ぐるぐると思考を巡らせて、ゆれにゆれて、たまに焦っても、結局ここから動いていない。どんなに高い山に登ろうと、森深くで眠ろうと、普段と変わらない・変われない自分は確かに遭難しているようでもあり、自分だけの尺度の地球儀に刺さっているピンのようだ。
ここで、「ようやくニュートラルになったなあ」と思った。いつも通り、めんどうなわたしよおかえり。そういう自分を責めるんじゃなくて、そういう自分と遊ばないとね。
開き直って、ホットワインを飲みながらすっかり暗くなった空に浮かぶ星を眺める。本当に、山崎まさよし(※私的理想の男性ランキング1位を10年間守り続けています)が歌っていた「星が落ちそうな夜」とはこのことですね。中二病の自分を偽れませんよ。テントで聴いちゃいましたはい。
内側からライトで光るゴーストくん、とってもかっこいい。これを撮ったときにはすっかり気分が良くなっています。
このあと読書もそこそこに、すぐに眠りました。ほとんど目が覚めることなく、6時ごろ、朝日に起されました。誰にもおはようは言わないけど、心がおはようであふれている!
その後朝ごはん→撤収。10時のバスに乗って帰りました。家には12時すぎには着いたかな。お手軽キャンプ、おしまいです。
バスの中で、「いよいよソリストだな…」と思いました。ひとり登山・ひとり映画館・ひとり焼肉・ひとりカラオケ・ひとり居酒屋等々、割と何でもひとりで平気なのですが(というか群れられないだけ)、ひとりキャンプは初体験。ソリストを名乗ってもいい頃かと…
キャンプをするのは去年の冬ぶりでしたが、そのときは登山とセットでした。今回キャンプだけしてみて思ったのが…全然疲れない!だから余計にゆれまくる。でも今回は疲れで紛らわせないでよかったかな。ぶんぶんにゆれたからこそ、セットポジションを再認識できたというか。
ちなみにここのキャンプ場、ピザ釜があるのでピザが焼けるそうです。マスのつかみ取りもできます。心が元気なとき、元気な人と来る機会があればやりたいような気もする。
ゆれない自分を探し求めてはまたゆれるソリストよ。君らしく奏でればいいだけよ。どんなメロディでも、どんなピッチでも、いつだってわたしが聴いてやる、いっしょに遊んでやる。それはもう、仕方のないことだから。
なんかそんなことに気付いた、お手軽キャンプでした。