のぼるおんなは今日もめんどう。

2017年から登山をはじめた、こじらせ会社員女性が、山行で余計にこじらせた思考を記録します。

【東北・磐梯山】福島百名山の旅 DAY2-迫力の火山で出会った、やさしいひとと忘れられない景色

福島にひとり旅をしてから、もう1週間経った。先週の今頃は、郡山のホテルで早くも安達太良山を懐古しながらチューハイを飲んでいた。時間が経つのは早い。

昨日、関東は梅雨明けが発表された。去年より22日も早いらしい。今日も暑かった。夏がきたと、確信できる。夏山のシーズンが始まった。

この夏に行きたい山が多すぎて、でも身体はひとつだから限界があって、そんなことにやきもきしてしまう。思えば、登山を始めて今月でちょうど1年。この1年で生活がガラリと変わってしまった。土曜日には朝から王様のブランチを見て、東京のおしゃれなレストランを熱心にメモしていたものだが、今日久しぶりに洗濯物を畳みながら見ていても、あまり心動かされなかった。麻布の高級ハンバーガーを食べるならなにか登山のギアを買う。

そんな風に強く思ってしまうのも、磐梯山の経験が焼きついているからかも知れない。福島遠征2日目です。一生忘れられない、特別な日になりました。

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朝8時半、ホテルをチェックアウトして、郡山駅発の快速に乗り猪苗代駅へ。大体40分くらいで到着しました。電車の中でこれを食べます。

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前日の夜、ひとり居酒屋で福島地鶏のからあげと米沢のフルーツトマトを食べたものの(めちゃくちゃおいしかった)、なんとなくご当地感のある食事に飢えていたので…。 味は想像通りの炊き込みごはんでした。

猪苗代駅に到着。

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到着し、駅舎を出るといきなりドーン。

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今から登る磐梯山です。こちらから見える景色はいわゆる「表磐梯」で、わたしは猪苗代駅からバスに乗り裏側へまわり、「裏磐梯」から登ります。表磐梯は富士ライクな美しい形をしていて、圧巻な佇まい。天気も良く、こんなにきれいに見えるとは思っていなかったので気持ちが高まります。

さて、バスに乗って1時間ほどで裏磐梯に着きます。バスを降りようとしたら、登山ウェアを着ているわたしを見た運転手さんが「裏磐梯から登山するなら、ひとつ先のバス停がいいべ」と声を掛けてくれました。福島の人はいい人すぎる説、強固になってきました。

 

≪行程≫

猪苗代駅→(バス)裏磐梯高原駅裏磐梯スキー場登山口→噴気口分岐→弘法清水→磐梯山頂→猪苗代スキー場

だいたいトータルで7時間くらいでしょうか。ハードでした。

 

いよいよ磐梯山へゴー!…と思ったら、30分くらいは登山口への砂利道歩き。何台か車に追い抜かれた。ああ、昨日のおじいさんに送ってもらうべきだった…。

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天気が良い分、炎天下で汗がじゃーじゃー流れます。しばらく歩くとお目当てが見えてくる…!

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ここらへん、冬はスキー場なので、いまわたしはゲレンデを歩いているのですね。リフト動いてくれ。

このあたりで、軽装の同世代男性二人組に出会います。挨拶をしたら、どこからきたの?と話しかけてくださいました。聞けば、学生時代の同級生で、それぞれ茨城、北海道から弾丸福島旅行に来ているのだとか。早朝からすぐ近くの五色沼を観光して、いまから銅沼(あかぬま)を見て帰るらしい。銅沼はわたしも通る予定だったので、なんとなく一緒に向かうことになりました。ふたりでノープランの旅をたくさんしてきたので、おたがいなにも気を遣わなくていいからラクなんだよね、と言っていた。素敵だなあ。

正直、このゲレンデ歩きは二人組と一緒じゃなければかなりしんどかったと思う。お二人もここまで暑いとは思っていなかったそうで、水も持っていなかった。塩キャンディをあげました。

ゲレンデを登り切ったら、磐梯山が目の前に。

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表磐梯とは違い、裏磐梯は火山噴火のあとがありありとわかる荒々しさ。このかっこいい風貌が見たくて、わざわざから裏から登ると決めたのです。

ここから少し歩くと、銅沼に到着です。

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火山の影響で銅の成分が沼に混ざっているそうで、沼の多色グラデーションと緑とのコントラストがなんとも言えずに美しい。磐梯山もしっかりと映り、三人ではしゃいでしまいました。

二人組のうち一人は立派なカメラを持っていて、今度地元の秋田で写真展をやるんだとおっしゃっていました。場所も教えてもらったので、行きたいな、なんて。その時は秋田駒ヶ岳かな。銅沼の写真もあればうれしいな。

お二人とはここでさようなら。お互いに、お気をつけてと声を掛けて。

 

さて、わたしの本番はここからです。いよいよ磐梯山頂へ向かいます。

実は初めて、山と高原地図の破線ルートを選びました。いわゆる推奨ルートではない上級者向けのルートです。ビビリなので推奨ルートの予定でしたが、前日に安達太良山で会ったおじいさんに「絶対にこっちのルートの方が展望がいい、俺でも登れるから大丈夫だ」と言われ、思い切って挑戦しました。

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いきなり細道で、緑が茂ります。

 

youtu.be

頭の中でWILD RUSHがぐるぐると流れます。こんなはずでは…コミックソングやめてよ…。ジャングル風の登山道を抜けると、眼前にドーンと現れます。

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かっこいい!!かっこよすぎるこの風貌!!!

そしてしばらく歩くと、ガレ場の登山道にあたります。 

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昨日の引き続き、ガレ場萌えが止まりません。
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ああ、ガレ場。ガレ場と火山のイケメンっぷりよ。恍惚の中、なにかに目覚めそうになりました。このルートを教えてくれたおじいさんに感謝。わざわざガレ場でコロッケパンを食べて長めの休憩をとったあと、再びWILD RUSHに突入。

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なんだこの鉄の手すり…。ここからの急登は本当につらく、しかも風が通らず蒸し蒸しの状態だったのでものすごくバテてしまいました。このルートを教えてくれたおじいさんを一瞬恨みました。

しかし!急登を抜けると…

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すべての語彙を失くすタイムに突入。その迫力に、偉大さに、強さに、泣きました。かっこいいんです。これ以上余計なことは言いません。

すれ違った男性に、「磐梯山はここがいちばんいいんだよねえ」と教えていただきました。いまわたしは、いちばんいいところにいるんだ、と思うと、大きく息を吸い込むほかありません。いまこの瞬間を身体中で感じたい。

そしてここで、水場登場っ!

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冷たくておいしい。マジで。WILD RUSHで削ぎ落とされた体力が急速に戻っていくようです。

さらにここから少し歩くと、「岡部小屋」と「弘法清水小屋」というふたつの小屋に出くわします。休憩専用の小屋で、どちらもご夫婦で切り盛りされています。弘法清水小屋でバッジを購入し、いざ山頂へ。

途中、山頂から下りてくるご夫婦とすれ違うときに「今日は山頂からぜーんぶ見えるよ!」という最高の振りをもらい、不思議と足早に。

そして小屋から20分ほどで山頂に到着しました。

 

まさに、まさに、全部見えます。f:id:catherine0082:20180630231802j:imagef:id:catherine0082:20180630231807j:image
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標高1,816m、磐梯山、登頂!

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登山を始めて30回目の山行でした。キリがいいね!

三角点ふみふみ。

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いつまでも見ていられる景色。

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名残惜しくも、下山を開始。小屋まで戻ってカップラーメンを食べました。

岡部小屋の中で、足が痛いと言っている男性がいるのが見えました。のぞいてみると、さっき山頂の展望がいいよと教えてくれたご夫婦の旦那さん。奥さんが足をさすっていました。小屋の人たちが「もう小屋を閉めてみんなで降りるから、荷物持ってあげるよ」と言っています。なぜか思わず「わたしもザック軽いんで、何か持ちましょうか」と声を掛けていました。

すると岡部小屋のご主人が「いらねえ!いいから小屋に入ってきな」と。めちゃくちゃに酔っぱらっています。そこからなぜか話し込みます。尾根歩きなんて酒飲んでやるもんだ、本当の山登りは岩登りのことなんだ。と。かっこいい。(まともに聞き取れたのはこれくらいのもの。訛りが強かった、、、)

足の痛い旦那さんは、どうやら足をつってしまったようでした。治らないので無理に動き出そうとすると、弘法清水小屋の奥さんがビニール袋を持ってきて「これを口に当てて、深呼吸して!」と。言うとおりにすると、驚くほど足のつりが治ったそう!きつい登山だと息が上がって、酸素ばかり吸うので二酸化炭素の吐き出しがうまく行われずにこうなることがよくあるんだって。これは覚えておこうと思いました。

あと、奥さんいわく、塩分が足りてないんじゃないかと。塩キャンディをあげました。本日、塩キャンディ配りすぎ。ビッキーズか。

その後、弘法清水小屋のご夫婦、岡部小屋のご夫婦、岡部小屋のアルバイトの男性、そして足の治ったご夫婦とみんなで下山することに。稀有な経験に胸がいっぱいです。

下山中、ヤマツツジを見つけました。

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登るときには疲れていて見つけられなかった。ほかにも弘法清水小屋のご主人に咲いている花の名前をたくさん教わりました。すごく贅沢なことですね。

歩きながら、タクシーで猪苗代駅まで戻り、そこから郡山駅へ向かい新幹線で帰る予定だというと、足の治ったご夫婦が車で郡山駅まで送ってくれるという。塩キャンディのお礼だよ、と。二日連続こんなことがあるのか…コンマ2秒でお言葉に甘えさせてもらった。

下山中、ご夫婦はこの夏、富士山に挑戦する予定なのだと言っていた。ハードな磐梯山で練習だそう。とても仲の良いご夫婦だった。

帰りは表磐梯の方へ出た。猪苗代湖がきれいに見える。

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こちらもスキー場になっていて、ゲレンデをずっと下っていく。まあこれもヒザにきます。リフト動いてくれマジで。

駐車場に到着し、車に乗せてもらい出発。お酒が好きだと言ったら、福島の地酒を買ったらいい、と、道の駅に寄ってくださった。道の駅から磐梯山が見えた。

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「わたしたち、今日あの上にいたんだね…」途方もない話だ。わたしは今日中に東京に帰るのだ。数々の非現実に思わず笑う。

帰りの車でたくさんお話したので、郡山駅まであっという間だった。ご夫婦が、今日山小屋の人に助けてもらった恩はほかの人で返そうね、と言った。わたしもこの恩を返そうと、連鎖させることで繋がっていられる、となんとなくロマンチックなことを考えた。

車から降り、お礼を言うと、また秋に会えたらいいねと言ってくださった。不思議と会える気がするのはなぜだろう。

新幹線に乗り、東京に戻る。新幹線で米沢牛牛めし駅弁with黒ラベルを一瞬で完食。福島百名山の旅2DAYS、無事に終了です。

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磐梯山から下りる前、酔っぱらっている岡部小屋のご主人に「あんたみたいな笑顔で登ってくるひと、めずらしいよ。楽しいんだねえ」と言われた。そのとき、昔は登山が趣味だったうちの母がかつて、立山の山頂で神主さんに「あなたの笑顔はなんて素敵なんだ」と言われた、という話を思い出した。

素晴らしい景色に出会えたこと、はじめてのことをたくさん経験したこと、そしてなにより、たくさんの人にやさしくしてもらったこと。すべてが自分の目から・肌から染み渡っていって、わたしの真ん中で感動が弾けたこと。どれも新鮮な体験なのに、それに出会ったわたしの笑顔は、きっと昔の母に似ていること。

どんなに新鮮な体験をしても、母から受け継がれた、ありのままの自分であり続けるのだ。そしてその事実をめいっぱい肯定してやる。福島の人のやさしさは、そんな風に思わせてくれました。

福島で出会ったすべてのことを忘れない。山も、街も、人も。本当にいい旅でした。絶対にまたきます。そしてまたみんなに会いたい!福島が、大好きになりました。

 

さて…本格的に、東京を出て移住を検討しようと思いはじめています。福島も候補のひとつということで。いつになるかわからんけども。この夏は、遠征登山で移住先を大検討するぞ!

【東北・安達太良山】福島百名山の旅 DAY1-ほんとの空のもとで

とにかく山に登りたかった。

6月は、尾瀬沼ハイキングには行ったものの、山には登っていなかった。なんといっても梅雨ですし、わたしにはまったく天気が読めない。なんとなくフラストレーションを感じる日々。今週末はどうしても登りたい…しかし、てんきとくらすを見ていると、関東・甲信越はまた天気が悪そう。

tenkura.n-kishou.co.jp

いつもならここであきらめるところですが、なんといってもフラストレーション。あらゆる天気予報サイトをハシゴし、天気の持ちそうなエリアを探す。そして、決めたのです。

週末は、福島の百名山に登る!

ソロ山行では今まででいちばん距離が遠い。しかし決めてからは早いです。高速バスと宿を手配し、昼休みに山と高原地図を買ってきて山行計画。路線バスの時刻表をiPhoneにダウンロードし、日程表を組みあげる。さあ、あとは行くだけ…!そんな弾丸ひとり山行旅をつれづれに記録したいと思います。

 

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金曜の夜、定時ダッシュで帰宅。最低限の家事とパッキング、そしてお風呂を済ませて東京駅へ向かう。24:30発、郡山駅行の夜行バスに乗って出発です。

夜行バスはケチって4列シート。「ゆったりタイプ」と書かれていたので一縷の望みは捨てずに臨みましたが、されど4列。狭いです。となりの席が空いていたので荷物を置かせてもらえたのは不幸中の幸いか。浅い眠りでしたが、到着アナウンスで目覚めました。朝5時、郡山駅に到着。

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時間があったのでブラブラと郡山周辺を歩いてみると、結構ダーティな繁華街でした。学生時代に住んでいた北九州小倉に似ているような…

コインロッカーに荷物を預けたり5年ぶりの朝マックをしたりして時間をつぶし、在来線で二本松駅へ向かいます。

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郡山駅から約20分。ここからバスに乗って奥岳登山口へ。この旅の一座目、安達太良山へ向かいます。

なんとなくずっと気になっていた安達太良山。山を始めたころ「アダチタイラ」と読んで山友達に正しい読みを教えてもらいました。「アダタラ」って読み、めちゃくちゃかっこいい。そんなことが気になっていたので、今回の旅を決めたのもこの山がきっかけです。

登るにあたって知ったのですが、高村光太郎の『智恵子抄』に登場するのですね。

智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。

東京に嫌気が差し始めているわたしにとって、かなりタイムリーな投げかけです智恵子さん。二本松にもこんな銅像が。

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いざ見に行きます。ほんとの空を。

 

≪工程≫

奥岳登山口→あだたら山ロープウェイ→安達太良山頂→峰の辻→くろがね小屋→奥岳登山口

恐らく最もスタンダードなルートかと思います。コースタイムも全部で5時間程度と短めなので、高速バス疲れを考慮して1日目にしました。

奥岳登山口から、ロープウェイに乗ります。これで400メートル近く標高が稼げます。ロープウェイ乗り場から風景の広大さに感動しているわたし。

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乗り場の中はなんとなく近未来感。

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5分ほどで山頂駅に到着します。ここで準備して登山開始。トイレがキレイでうれしい。

登山を開始してすぐ、きれいな花が連続して登場。これはうれしい!あとから知りましたが、「花の百名山」にも選ばれているのですね。

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急登もなく、登りやすい道です。整備もされています。

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とにかく木々や花が美しく、すでにテンションメーターが壊れています。

途中、薬師岳というところに寄ります。なぜなら…

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ほんとの空があるから。ただしガス。

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しかし、よい展望。木々が茂っています。

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どんどん進みます。草花が本当にきれいだよお。

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なんだか道がガレてきました。

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このあたりで気付きます。わたし、ガレ場が好き…。荒々しい道がかっこよくて好きみたいです。

山頂が近づくと、あの稜線が見えてきました。これこれ!これが見たかった!2時間ほど登るだけでこの景色とは。

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わくわくが止まりません。すべりやすい道を登り、山頂を目指します。

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そして山頂に到着。ででーん。

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この写真の後ろにすこし見える岩場を登ると、祠つきの本当の(?)山頂につきます。

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ガスっていますが、鉄山に向かう見事な稜線が見えます。

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大迫力の絶景に感動。すべての言葉を失う。もちろん、東京からわざわざここまで来たというのもスパイスにはなっていますが、なんというかもう…来てよかった。心から。

予定はしていなかったけど、どうしてもこの稜線を歩きたくなった。ビビりの初心者なので、予定外のルート変更にものすごく躊躇する。いやでも、歩きたい…満を持して山と高原地図を取り出し、この稜線を歩き、鉄山へ向かうことに。

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あー!!!うれしいー!!!!!幸せの絶頂。ですがガスで先が見えない。

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赤い土がかっこいい。しかし、先が見えない…

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このあたりでどうにも怖くなってしまい、引き返しました。あはは…。引き返す途中、すれ違ったおじさんに「あんた足なげえね!」と言われてご機嫌です。福島いいとこだなあ。

 

気を取り直して、予定通りのルートでくろがね小屋に向かうことに。

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休憩は小屋前の予定。もう腹ペコなのです。

ここで、あるおじいさんとたまたま話し始め、なんとなくそのままいっしょにくろがね小屋まで向かうことに。

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実はさっき稜線に向かう写真にも登場しています。三脚を立てて稜線の写真を撮っていました。

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「あんた、さっき鉄山の方に向かってたべ?なんでここにいるの?」と声をかけてくれました。ガスって先が見えないのが怖くなって引き返したと言ったら、「そりゃ初めてだもんな、怖いよな、次の楽しみだな」と。なんだか話しているととても落ち着く人で、くろがね小屋までそれはそれは楽しくお話しました。

安達太良山は、なんと温泉が湧いているのです。歩いていると硫黄の香りがすごい。あそこが温泉だべ、とおじいさんが教えてくれた方向の景色はとんでもなくかっこいい。

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安達太良山はかわいらしいお花の道を抜けると、荒々しく、雄々しい景色が広がっています。なんというかギャップ萌え…

くろがね小屋が見えます。

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通年営業で、温泉まで入れるので人気のようです。実は今回ここに泊まりたかったのですが予約がいっぱいで断念しました。

くろがね小屋に着き、食事をとります。おじいさんはおにぎり、わたしはペペロンチーノです。

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「パスタなんか作るんだべ?!好きなんだなあ」とおじいさん。さっき、話していると落ち着くとか言いましたが、福島なまりが強くて、言っていることの半分くらいしかわかりません。

おじいさんは山登り歴20年。食べながら福島の山のことをいろいろ教えてくれました。安達太良山は紅葉も最高だ、とか、一切経山は日帰りで行けるのに名山だ、とか。翌日行く山の話をしたら、おすすめのルートを教えてくれました。実際、おじいさんの話を信じてルート変更しました。正解でした。

くろがね小屋を発つときも、みんながスルーしてしまうとっておきの下山ルートがあるからそこから下りないかと提案してくれました。もちろん乗っかります。

下山中に振り返ると見えるくろがね小屋。黒くてかっこいいです。もうすぐ建て替えをするらしい。おじいさんもこの風貌が好きだって。

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おじいさんに、「あんたいつもひとりなの?」と聞かれまして、まあ、はい、そうですねえ、半々くらいですかねえ、というと、「おれもいっつもひとり。こんな年だから登山グループに入った方がいいってわかるんだけどねえ…群れるのが嫌いなんだよ…」と。そしてだらだらと続く下山道の途中、「この道はいっつもひとりだと長くてしんどいけど、今日は話しながらだからあっという間だな」とおじいさん。なんだかこの人に妙に親しみを感じている理由がわかった気がした。

さて、おじいさんのいう「とっておき」に到着です。あだたら渓谷自然遊歩道。

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なんと安達太良山には沢もあり、それが堪能できる遊歩道!先ほどまでの雄々しい風景とは打って変わって、澄んだ雰囲気が味わえます。

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滝もあります。おじいさんはこの滝を見せたかったようです。

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何度も何度もおじいさんは「安達太良山、いいとこだべ?いいとこだろ?」と言っていました。「いやなことがあっても、ここにくると、どうでもよくなるんだ」と笑っていました。本当に好きなんだ、この山が。

さて、登山口に戻ってきました。バスで帰るというと、なんと宿をとった郡山駅まで車で送ってくれるという…!コンマ5秒でお言葉に甘えました。さらになんと、息子さんからもらった岳温泉無料券が2人まで使えるので行くか?と。コンマ2秒で首を縦に振りました。

車の中で、明日行く山の登山口まで送ってやろうか?ともご提案いただきましたが、それはさすがに悪いな…と思い丁重にお断り。翌日、やっぱり送ってもらえばよかったと後悔することは、この時にはまだ知りません。

温泉に入ったあと、楽しく話をしながら郡山駅へ。ご家族のこと、震災のこと、山のこと、福島のこと。「東京に戻ったら、なんでこんなところに住んでんだ?って悲しくなるべ」と。昔東京に住んでいたらしい。おじいさんの、福島への愛をたくさん感じていたら、最後の最後に岩手県出身だと判明。えっと……住めば都ですよね。

電話番号を交換してさよなら。また福島の山に登るときにはいっしょに登ろうと。ホテルについて御礼の連絡をし、ひとり福島の地酒で打ち上げをするためにわたしは街に繰り出したのでした。

そして酔いが手伝い、寝る前にひとり泣いてしまいました。感動で(わたしそういうところあるんです)。なにに感動していたかはわかりません。

youtu.be

この曲を聴いて泣いていました。正直に言うと、今も聴きながら泣いています。大好きな曲ですが、こんなにハマるタイミングは今までなかった。

言葉より 触れ合い求めて 突き進む君へ

ひとりが好きなのに、群れられないのに、触れ合いにこんなにも喜んで感動してしまう。ねえ、これからも、突き進んでいいですか。間違っていないですか。

寝る前に、おじいさんから御礼の返信がきました。「明日も無理せず楽しんで。またお会いできると嬉しいです」。

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安達太良山の上の空がほんとの空。いま、このブログを書いている神奈川から見える空の方がよっぽど青いのに(だってめちゃくちゃガスってたし)、まだ心はあの空にあります。

 

さあ、DAY2は・・・磐梯山

はじめての続きもの記事、お楽しみに・・・

【その他】山行の前日に・ハードロッカーたちへのありがとう

前回、超ダークサイドな記事を書いたのですが、なかなかに好評でして、嬉しい限りです。ダークサイドブログにしようかと思うほど。やっぱり書いたものがよかったと言われるのはなにを褒められるより嬉しいことです。

 

二日もすれば案外ケロっとしてました。ダークサイド真っ最中はいろんな人にお話を聞いてもらいまして、「猿以下の感受性の持ち主だからお前(=わたし)の言葉は理解できない」とか「最低13回は死んだ方がいいドクズだ」とか「今私の中で精神的に殺しました」とか「自分を同じ人間という種族だと思って欲しくない」とか、まあとにかくわたしの周りにはハードロッカーが多いということに気付かされたのですが、そんな感じで手荒な言葉で励ましていただきました。今はすべての言葉に共感しています。

そんな嘘に対して気を落とす時間の方が勿体ない(ただでさえ時間も金も無駄にしたと思っているので)ということがようやく実感できています。

相手にはなにをいっても届かないし響かない。わたしの傷の1ミリでもやることはできない。はがれた意識を失っただけ。でも、失うものよりも得るものの方が絶対に尊い。それに気付かない者は、得たものより尊いものを失う。だからわたしは目の前で笑ってくれる人を大切にする。そんな風に思っています。

 

改めて。みんなありがとう。たくさんの言葉に抱きしめられました。わたしは絶対に裏切りません。みんながいる限り、わたしはいい人間でいられます。

 

そういえば小さな頃に、母親に「究極の選択だけど、あなたにはいじめる側よりいじめられる側の方にいてほしい」と言われたことがありました。こういうことがあると、わたしも誰かを思いきり傷つけたい、と思ったりするが、わたしはまだ、まともでいられているのだろう。

 

さて、いつだってわたしを救うのは信頼のおける人々とすばらしい音楽です。ここ数日はZAZEN BOYSしか聴いていません。ほんとうに。音楽に「共感」や「慰め」は求めず、とにかく生々しい自分になれることを求めたらすごくハマった。いちばんこれを聴いた。

www.youtube.com

伝達できん自分に腹が立つ

生まれ育ったその環境、歴史、思想すべて

ぶち込んで 表すことができればいい

意味の解らん言葉で 意思の疎通を図りたい

 「どんな装いであろうと、伝えたい気持ちがあるのは健全だよ」と、信頼する友人が言ってくれました。苦しもうと、逃げも隠れもしない生々しい気持ちをこれからも表現するよ。そこから逃げないよ。

 

明日は雲取山、今シーズン初の泊まり登山に行ってきます!しかもめずらしくソロじゃない。おもしろい登山ブログが書けるよう、楽しんできまーす!

 

最後にもう一度、ありがとう。

【その他】この世の沙汰は――嘘の間を縫って叫ぶ

とにかく今日は全く山とは関係ないことを書く。書かないといけないのだ。心が書けと言っているのだ。

 

東京にきてもうすぐ丸3年だ。2015年の七夕に福岡から上京した。それはとてつもなく大きく見えてかつ輪郭のない「夢」のようなものを抱えたわたしが爆発を起こして飛び火したように、生きる街を変えたのだった。

その夢は輪郭を未だ持たず、しかし確実に小さくなっている。若さゆえの爆発力がなくなったのかもしれない。夢より現実が重要だと思ってしまうようになったのかもしれない。

 

最近とても重大な嘘をくらってしまった。東京という街はいつもわたしを癒すことはなくただ心身を削り続けてきたのだが、その東京で偶然にも出会った、信頼している「と思っていた」人から、大きな嘘をくらった。

信頼とは、無意識下のものである。信頼とは、築く努力なくいつの間にか積み重ねられていくものである。その嘘は、無意識を一気に意識に変えた。わたしの中には信頼があり、それが、今ひっぺがされたのだと、意識が残酷に横たわった。その信頼がまことに薄いものだったとも意識させた。

嘘と無縁の人生を送ってきたのだと思った。嘘に対する耐性がない。幸い信頼を意識する必要のない環境下で生きてきたのだと実感した。

友人や同僚から、きみは何も悪くないと言われた。ただのドクズだから怒りなさいと。しかしまだ、そこにあるやさしさに飛び込めない。この意識をまだ自分のものにできていない。

 

 

さあ、わたしはこれからどうするのか。

 

「それならば貴様が生涯において体験することのないような大声を

俺は放つ 声を枯らす それはとても大きな意味を成す」

 

他人をなめるな。

関係をなめるな。

言葉をなめるな。

感情をなめるな。

時間をなめるな。

傷を負え。

 

この世の沙汰は嘘だらけ。

わたしはどこに生きても、他人・関係・言葉・感情・時間・傷を負う。

嘘の間を縫って生きていく。 

せめてわたしだけは。

 

あえて大きな声で叫ぶ。声を枯らして。あのときの爆発のごとく。

今は自分にしか反響せずとも。

 

(あ~!山のぼりてえ~っ!!!)

【丹沢・大滝キャンプ場】ゆれるソリストよ、キャンプ場で遊びましょ

気持ちが晴れないゴールデンウィーク、映画を観てきました。

cmbyn-movie.jp

すごく偏りのあるにわか映画好きでして、特に胸が高鳴るのが「オスカーに引っ掛かったゲイ映画」のわたしとしては今年のオスカーにノミネートされた時点から鼻息荒く待っておりました。去年の作品賞だった『ムーンライト』も最高だった。いちばん好きなのは『ブロークバック・マウンテン』です。

観に行ったのは前回のブログを書いた夜、日比谷のシネマシャンテは満席でした。感想を書くのがとても苦手なのでなんとも言いませんが、とにかく美しい映画でした。あれはファンタジーだと思います。侮蔑は込めてないです。

スカッとしたいときには映画や音楽にできるだけ生で触れる、というのがマイルールなんですけど、ちょっと美しすぎてスカっとできなかった(かと言ってコメディ映画やドンパチ映画ではスカっとできないんですこじれているので)。どうしたものかと考えたとき、目に入ったのは中止になった甲武信ヶ岳テン泊のためにパッキングしたザック。かと言って山に登るほど心が元気じゃない。

というわけで!キャンプをしようと突然決めました。

と言っても車がないので、電車+バスで行ける場所限定。愛する丹沢しかありませんね!

 

ここに行きました。大滝キャンプ場です。

西丹沢大滝キャンプ場

小田急新松田駅から、西丹沢ビジターセンター行のバスに乗り、「大滝橋」バス停で下車してすぐです。

下車してすぐって言いましたけど、バスそのものの乗車時間は新松田から約1時間です。そして、GW渋滞でその2倍時間がかかりました。くったくたでした。交通費は最寄駅から往復で3,500円くらいかな。

 

移動中は大体音楽を聴いているのですが、心の元気がなさすぎて何も聴く気になりませんでした。ヒーリング効果のありそうなノラ・ジョーンズでも聴いてみようかと思いましたが普段一切聴かないものは逆効果になりそうなので、おとなしく窓の外の風景を眺めていました。

キャンプ場に到着すると、事前に電話で聞いてはいましたが大混雑。大体のお客さんは車で来ていますが、たまたま同じバスに乗った3人家族もこのキャンプ場に入りました。めずらしいな~と思っていたら、お父さんのザックのサイドポケットに黒霧島が刺さっていました。飲みたいのね、お父さん。確かに公共交通機関だと気兼ねなく飲めるのがいいですね。

車もバイクもなければ、税別800円で泊まれます。山小屋のテン場の幕営料と同じくらいですね。

このテント場の特徴は、沢のすぐそばにテントが建てられることです。

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それはそれは新緑と水の流れが気持ちよく、沢で遊ぶ子どもたちの声もキラキラと輝いています。

混んではいましたが、ソロだし山岳テントなのでスムーズに幕営できました。これでまともに建てるのは2回目!MHWのゴーストスカイくんです。

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まだ少し時間はかかるけど、思ったよりスムーズに建てられたかな。前回もキャンプで使ったなあ…はよ山で建てたい…

到着したのが昼ごろだったので、メスティンでご飯を炊いて、甲武信ヶ岳で食べるはずだったカレーを供養します。

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しばらく酒を断とうとか思いましたけど、キャンプきて飲まへんわけにはいきませんやろ!!!(だからダメなんですよねほんとにああ自己嫌悪)

キャンプ場の中を回ってみると、水道もたくさんあるし、私がテントを建てたところからいちばん近い水道にはなんと洗剤が置いてありました!おかげで快適に食器が持ち帰れました。ありがたい。沢の水も本当にきれい。いつまでも見ていられる。

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空が青い。新緑が生きている。

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せっかくなので、沢の水でお酒を冷やします。

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近くにいた子どもが、「あっちの方が冷たいよー!」と穴場を教えてくれたおかげですぐに冷えました。そしてすぐに飲みました。

その後少しだけ昼寝をして(至福)、読書タイム。子どもの声やその子どもを叱る親の声、パーティピープルが流している低音が効いたチャラい洋楽など、ノイズは多いはずなのにやけに集中できて一気に読んだ。本を読み終わる頃には薄暗く、肌寒くなっていた。さっきまでは日差しが痛いほどでテントの中は蒸し暑かったのに。ダウンジャケットとダウンパンツを着た。

 

焚火とランタンが灯り始めるキャンプ場をぼおっと眺めて、これまで生きてきた中であった恥ずかしいこと、腹が立ったこと、つらかったこと、申し訳ないこと、そういうことをぼんやりと思い出していた。読んだ本に、ネガティブから抜け出すには何かに没頭しなければならない、と書いてあった。今、この瞬間、私には没頭するものがない。テントの中から、灯りを眺めて、夜が更けるのを待つだけ。

 

消えたい。どうしても何かで紛らわせないのなら、全部なかったことにしたい。あれもこれもあれもこれもあれもこれも。

さっきまでキャンプの空気を感じて楽しい気持ちだったのに、どうしたものか。ゆれすぎだろ。ふと1曲、頭で流れたのでiPhoneで再生してみた。

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わかってますよ!中二病全開ですよ!!しかも帰ってからこの曲がテラスハウスで使われてたと知ってかなりショックでしたよ!!!!!

湘南が遠くなってく

ふたり遭難し続けてこのまま

まるで湘南抜けたら何もない

不思議な地球儀のうえに

何度目かの夕立が

ここは湘南でもないし、遭難なんて縁起でもないし、夕立なんてきたらたまったもんじゃないのですが、「不思議な地球儀のうえ」という表現にこの瞬間をとても重ねてしまった。ぐるぐると思考を巡らせて、ゆれにゆれて、たまに焦っても、結局ここから動いていない。どんなに高い山に登ろうと、森深くで眠ろうと、普段と変わらない・変われない自分は確かに遭難しているようでもあり、自分だけの尺度の地球儀に刺さっているピンのようだ。

 

ここで、「ようやくニュートラルになったなあ」と思った。いつも通り、めんどうなわたしよおかえり。そういう自分を責めるんじゃなくて、そういう自分と遊ばないとね。

開き直って、ホットワインを飲みながらすっかり暗くなった空に浮かぶ星を眺める。本当に、山崎まさよし(※私的理想の男性ランキング1位を10年間守り続けています)が歌っていた「星が落ちそうな夜」とはこのことですね。中二病の自分を偽れませんよ。テントで聴いちゃいましたはい。

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内側からライトで光るゴーストくん、とってもかっこいい。これを撮ったときにはすっかり気分が良くなっています。

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このあと読書もそこそこに、すぐに眠りました。ほとんど目が覚めることなく、6時ごろ、朝日に起されました。誰にもおはようは言わないけど、心がおはようであふれている!

その後朝ごはん→撤収。10時のバスに乗って帰りました。家には12時すぎには着いたかな。お手軽キャンプ、おしまいです。

バスの中で、「いよいよソリストだな…」と思いました。ひとり登山・ひとり映画館・ひとり焼肉・ひとりカラオケ・ひとり居酒屋等々、割と何でもひとりで平気なのですが(というか群れられないだけ)、ひとりキャンプは初体験。ソリストを名乗ってもいい頃かと…

 

キャンプをするのは去年の冬ぶりでしたが、そのときは登山とセットでした。今回キャンプだけしてみて思ったのが…全然疲れない!だから余計にゆれまくる。でも今回は疲れで紛らわせないでよかったかな。ぶんぶんにゆれたからこそ、セットポジションを再認識できたというか。

ちなみにここのキャンプ場、ピザ釜があるのでピザが焼けるそうです。マスのつかみ取りもできます。心が元気なとき、元気な人と来る機会があればやりたいような気もする。

 

ゆれない自分を探し求めてはまたゆれるソリストよ。君らしく奏でればいいだけよ。どんなメロディでも、どんなピッチでも、いつだってわたしが聴いてやる、いっしょに遊んでやる。それはもう、仕方のないことだから。

なんかそんなことに気付いた、お手軽キャンプでした。

【奥多摩・鷹ノ巣山】青春って、1・2・3ジャンプ!ゆううつでもあきらめなかった苦行登山

また1か月以上更新しなかった。GWは有休を使って9連休にしたので、たまには書こうと思う。

 

本当は昨日~今日で、甲武信ヶ岳にテン泊する予定だった。未だ山の上でテン泊したことがない私は、よく飲む山の先輩友だち(?)といっしょに登るということですごくありがたく、楽しみにしていた。

しかし、関東甲信越の荒天予報で断念。決断してくれたことにこれまた感謝している。

断念したので、昨日の夜、鎮魂するため阿佐ヶ谷に集合して飲んだんですけど、2軒目でえらい飲んでから記憶がバッタリと無くなった。どこかで嘔吐した記憶だけはある。あとはもうまったく記憶なし。水がリュックに入っていた。買ってくれたのかな?

すごいのが、阿佐ヶ谷から新宿に向かい、小田急に乗り換えてちゃんと家に帰っていること。最寄駅からもタクシーを使わず、徒歩で。怖い。怖すぎる帰巣本能。

朝起きてから、毎分「死にたい」と思っている。楽しく飲みたかった。迷惑を掛けたくなかった。つい、博多に住んでいるときほぼ毎日飲んでいた同期に連絡した。「よくあることだよ、どうでもいいやんけ」と、ちょっとなぐさめて欲しかった。しかし返ってきた言葉は

「阿佐ヶ谷でマーキングすんな」

でした。まじ死にたい。

 

そんな絶望感の中で書くので、まあそういった趣になるかと思います。

 

2018年4月1日、奥多摩鷹ノ巣山(標高1,736m)に登りました。甲武信ヶ岳が初めてのテン泊になる予定だったので、荷物の重さを体感したく、テン泊装備を背負っていきました。多分12キロくらいだと思う。

3月末に、直属の上司が退職し、慣れない仕事が多く降りかかってきました。課のリーダー的な立ち位置になり、偉いおじさんたちとも話す機会が増え、ゆううつに襲われる毎日。なにがゆううつって、「自分のダメさ」や「自分の頭の悪さ」に気付かされること。今まで自信があったのは、自分のできることしかやってこなかったからなんだなあ、と。

そんな負の感情スパイラルに陥ったときに救ってくれるものは、「山」!・・・ではないんですね。山に登ろうと、何をしようと、ゆううつは襲ってくる。昔からネガティブになりがちなので、自分なりに負の感情と向き合った結果、何かで気を紛らわすことはあまり有効でなことにはすでに気付いている。「何かで気を紛らわそうとしている自分への嫌悪感」が湧き出てくるので。

それでも山は特別だなあと思うのは、すごくゆううつでも、登りたくなることです。この鷹ノ巣山に登ったときなんて、本当にゆううつだったんですけど、だからこそか、衝動に駆られたのです。

【コース】

(行き)東日原バス停→稲村岩→鷹ノ巣山

(帰り)鷹ノ巣山→六ッ石山→奥多摩湖バス停

登りで使った稲村岩尾根は、「奥多摩3大急登」のひとつと言われているらしいです。大体コースタイム通りでした。

 

朝、奥多摩駅から東日原行のバスに乗る。奥多摩の中でも玄人向けの山なのか、人は少ない。サッカーチームのコーチ風男性とそのチームの選手風子どもがいたのですが、コーチがスパルタすぎて絶対山嫌いになると思う。

 

山に登る前の移動中、大体音楽を聴いているのですが、このときは岡村靖幸の「家庭教師」というアルバムを聴いていました。ちゃんと聴いたことないなーと思ってなんとなく聴き始めたのですが、これが衝撃的で。エロティックでサイケデリックでサディスティック。気持ち悪くて(褒め言葉)ここ最近は聴いていない。疲れちゃうのよね。

多分いちばん有名なこの曲が入っています。

www.youtube.com

寂しくて悲しくてつらいことばかりならば

あきらめてかまわない

大事なことはそんなんじゃない

という一節があります。すごい歌詞だと思います。この言葉に救われる人はたくさんいるんじゃないかと思います。この曲が発売された1990年に、こういうことが言える人はこの人以外にいたんだろうか。

あきらめて、かまわないのか。そうか。

 

さて、鷹ノ巣山ですが、ひとことでいうと「今まででいちばんきつい山行」になりました。

・いつもより格段に重いテン泊装備だった
・替えたインソールと靴の相性が悪く重度の靴擦れを起こした
・そんな中のクレイジー稲村岩尾根

こんなことが要因かと思います。

 

この山は何を差し置いても、「稲村岩尾根」だと思います。化けて夢に出てきそうなくらいきつかったです。

これは登り始めかな。奥多摩らしい樹林帯なのですが、勾配が開始しているのが伝わるでしょうか。

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この後も、ノー展望で急登が続きます。伝わるでしょうか。勾配。雪も残ってたんです。

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もうねえ、「これが終わったら山頂や!山頂のはずや!」と4回くらい思いました。でも全然山頂じゃない。まじでこんなに楽しくない登山は初めてだったかも。

確かこれが最後の急登。

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ここまでノーアイゼンだったしザック下ろすの面倒だし私より先に登ってる人みんなノーアイゼンだからいけるか!と思ったら一歩目で盛大に滑り、おとなしくチェーンスパイクをつけました。みんな慣れている健脚さんなのねそりゃそうか。

最後の急登でも、どうせ山頂じゃないんだろ受けて立つぞコノヤロー!と思ったら、山頂でした。どーん。

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この「突然の山頂」感はわたしだけでなく、昨日迷惑を掛けた友人も言っていたので多分みんな思うことなんだろう。

奥多摩の中では雲取山のつぎに標高が高いので、展望が良い!急に現れた山頂からの大展望はなかなかのご褒美感。楽しくないとか思ってごめん。

さて、シートを広げて靴を脱いで休憩タイム。靴擦れが深刻にぐじゅぐじゅになっていました。

いつものちゃんぽん麺。だーいすき。

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相変わらず墓石のようですね。

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この大展望のなか、「わたしはあきらめたくないな」と思いました。

そもそも大失恋で頭がおかしくなって始めた登山、あの恋以上に(書いてて恥ずかしいわ)夢中になっていますし、今までも仕事でもプライベートでも、何かにつまづいたとてがんばってこれたじゃない、だから生きているんじゃない、と。初めての転職で失敗しても、変な男に引っ掛かっても、他人だらけの大都会で、ひとりで生きている。やれるところまでは、あきらめないでおこうよ、と。

岡村ちゃんのメッセージは、「あきらめていいよ」ではなく、「寂しくて悲しくてつらいことだけじゃないなら、もう少しがんばりなよ」ということなのかな、と。実際に岡村ちゃんはこの歌の中で

誰もがもう諦めて苦く微笑むけれど

僕らならできるはず

革命チックなダンキンシュート

と言っています。全然あきらめてない。

 

・・・と言いながら、靴擦れが深刻だったので、下山は予定からルートを変えて奥多摩湖に下りました。予定のルート(奥多摩駅まで歩くルート)より短い時間で下れそうだったので。しかしこの尾根もまた奥多摩3大急登(諸説あるらしい)のひとつで、これまた勾配がすごい。絶対にここから登りたくない。

途中で六ッ石山にも立ち寄れました。

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意外にも、いつも登る丹沢とは違い、階段や木の板等、がちがちの整備はされておらず(奥多摩はみんなされているものかと思っていた)、根道をピンクテープを頼りに下山しました。少しやせた尾根もあり、「山歩きしているー!」という感覚が楽しかった。うちからだと丹沢の方がアクセスがバツグンに良いので、あまり奥多摩にこようとは思わないのですが、これはいい発見だったと思います。

 

鷹ノ巣山は、ゆううつを忘れるくらい、ゆううつな急登が印象的でした。今はまだ、「また登りたい」とは思わない(笑)

ゆううつの解消方法。ちゃんと傷ついて、あきらめないこと。

時間はかかるかもしれませんが、頭の悪いわたしにはきっとこれしかないんだと思う。ごちゃごちゃ考えても原点回帰。頭からっぽになるくらいきつかった鷹ノ巣山のおかげかもしれません。次に登るときは、またゆううつに襲われたときにしよう。

 

ああ。ゆううつである。酔って吐くとか大学生かよ。今年三十路だろ。ああ。消えたい。無限ループ。今日はちゃんと傷つこう。青春!

【その他】型落ちに恋して、セールを愛して。ギア沼にはまりゆく半年

ちょうど1か月、山に登っていない。これは忌々しき事態である。体力は格段に落ちているだろうし、そろそろ休日に早起きできなくなってきている。

なぜ登っていないか、それは花粉症のせいです。もうどうにもならないほどくしゃみと鼻水が止まらない。病院でもらった薬は効くけどまったく体に合わず、眠気を通り越してずっとラリっているような状態。仕事もままならん。スギだらけの奥多摩なんかこわすぎる。

というわけでおとなしくしていたのですが、ここまで登っていないと、いろいろと恋しくなる。家で登山ウェアを着てみたり、メスティンで料理してみたりと、なにかと「山っぽさ」を意識して生活しております。

 

なので今日はギアのことを書きたいと思います。この半年の経済的打撃をつれづれと。共感するもよし、軽蔑するもよし!

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最初に買ったギアは登山靴(キャラバン)、ウェアはレインウェア(ノースフェイス)でした。ほんで、その次はザックです。

www.karrimor.jp

カリマーの、セクター25氏でございます。

このザックを買ったときは初登山直後で、「これから登山を趣味にしたいけど、そんな毎週行くほどがっつりするわけじゃないから、普段使いもできるデザインにしよーっと♪」みたいな女子っぽい基準で選びましたが、驚くほど毎週行くようになってしまったので、今ではすこーしだけ後悔しています。冬の低山には25Lは小さかったり、腰ベルトがもう少ししっかりしていたらなー、とか。雨蓋ほしいなー、とかとか。

にしても夏の低山にはぴったりのサイズですし(でも冬の低山でも使うようにしていたら、少しパッキングがうまくなったかも)、なにより通勤にずっと使っています。雑誌やら本やらたくさん入りますし、宿泊出張にも使えました。色も黒にしたのでなんやかんや使いやすいです。そして、これが唯一定価で買ったザックです。

 

そこから定価じゃないザックを2つ買いました。宿泊用ザックです。グレゴリーアンバー44ちゃんと、グレゴリーディバ70ちゃんです!!

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←ディバちゃん アンバーちゃん→

アンバー44ちゃんは、初のテン泊登山のときに買いました(テントはいつもの仲間がかついでくれた)。カリマーのリッジ40とミレーのサースフェー38、どちらにするか悩みに悩んでいたところ、まったく想定外のダークフォースとして現れたのがこいつでした。

さすがザック界のロールスロイス、グレゴリー。体にフィットしますし、収納や使い勝手もすごく気に入ってます。44Lというのが結構便利で、冬の小屋泊(丹沢)もこいつで行きました。水場のない丹沢なので水を多めに担ぎましたが、無理なくいけました。

そして、マイテントを購入したあとに買ったのが、ディバ70ちゃん。まだ実戦では使っていないので、早く使いたいのです!!

 

ディバを買う羽目になった理由は、テントを買ったから。テントは…欲しかったこれを買ったのでした。

www.mountainhardwear.jp

いんやーめちゃくちゃかっこいいんですよ。マウンテンハードウェアのゴーストスカイ2くんです。デザインがかっこいいですよね。どツボの白いフライシート!

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多摩川沿いで建てる練習したとき。

これは、友人がMHWファミリーセールでハードシェルがほしいと言っていたので、買わせてやろうと私もついていったんですよ。そしたら帰るときには私がテントを持っていたんです。ちなみに友人はフリースベストだけ買っていました。あれ?

しかし友人のおかげで定価より2万円近く安く買えました。帰りにテント購入記念で飲みにいったけど。あれ?

早くディバちゃんに入れて山中まで運びたいものです。なんていったって重量が1.6kgと軽いので!ほんっとーに使うのが楽しみです。

 

話は変わるようで変わらないのですが、私の職場は、アウトドアショップの聖地、東京・神保町です。転職してもうすぐ1年半なのですが、ここに職場がなかったら、私はここまで山にハマっていなかったと思います。ちなみにセクター25氏、アンバー44ちゃんは昼休みに買いました。

昼休みに買ったシリーズ、いちばん金額が大きかったのはシュラフかなと。

www.hcsafe.co.jp

会社からいちばん近いのが、さかいやスポーツのエコー館。そこに置いているプロモンテのシュラフなぜか常時30%OFFなのです。恐らくさかいやさんとの契約の関係なのでしょう。ほかのお店でプロモンテのシュラフ自体そんなに見ない。

大体シュラフといったらモンベルかナンガだろうと思い、そのふたつに絞って時間をかけて悩んでいたのですが、さかいやでこれを見つけて即決。モンベルで同じスペック相当のものを買ったら+3~5,000円くらいかな。ちなみにほかのメーカーとのスペック比較表もお店に置いてあり、かなりわかりやすい。

 

というかですね、さかいやスポーツ最高ですよ。店員さんのレベルが違います。

www.sakaiya.com

アンバーちゃんを買ったのはさかいやさんだったのですが、デザインが気に入ったほかのザックを試着したい、と言ったら「うーん、体に絶対合わないから背負わなくていいですよ」と。最高じゃないですか。ちなみにほかのお店で、安いからという理由で同じザックをおすすめされてたんですよ。実際に背負うと背面長が全く合わない。見て大体わかるそうです。感服っす!

というわけで、「いいギアとの出会い」は「いい店員との出会い」とほぼ同義だと思っております。なので必然的にさかいやさんでの買い物が多いです。

 

新宿の好日山荘でも、いい店員さんと出会い、いいギアにめぐり合えました。2代目の靴です。

www.kojitusanso.com

靴は、ザンバラン・シェルパプロのデザインが好きだったので、それにしたいなーとぼんやり思っていたのですが、店員さんが「もっといろいろ履いて、自分に合う”履き味”を見つけないと」と言ってくれ、2~3時間つきっきりで試着させまくってくれました。その結果、「これやー!!!!!」と確信できたのがサレワたんでした。

全くノーマーク、存在さえ知らなかったのですが、まさにシンデレラフィット。”履き味”という言葉、本当に心の底から理解できた気分でした。セミワンタッチアイゼンがつけられる爪がついているので、もう少しステップアップしてもサレワたんと登れそう!今はまだまだ慣らし中です。

 

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まーだーまーだー、私の経済状況を脅かした出費はたくさんありますが(また書きたい)、そのほとんどが、型落ち or セール。そうでもしないと絶対続けられません。だから、仕事帰りや昼休みにお店を巡回。神保町のセール事情は結構くわしいと思います。私っぽい人がいたら声かけてほしい。めんどうなおんなですが友達になってください。

 

さて。本格的な登山シーズンに入ったら、この1年足らずで財布の紐をゆるめまくってゲットしたギアでどこにいくか。もうだいたい決めてあります。楽しみすぎる。

 

型落ちに、セールに恋して沼に溺れるのも、山を愛するゆえということで…

ああ、登りたい。